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研究テーマ2

食品安全のためのリスクコミュニケーションモデルの開発とプロフェッションの要件

研究テーマ2

「食品安全のためのリスクコミュニケーションモデルの開発とプロフェッションの要件」
科学研究費基盤研究(A)(新山研究代表)2015年度~2017年度

食品のリスクイメージに関するグループインタビュ調査メンバー(フランス)

食育政策のヒアリング(フランス農務省)

研究目的

リスクおよび科学的データを基礎にして食品安全措置を講じるリスクアナリシスの枠組みが国際的に導入されており(CAC2007、FAO/WHO2006)、本研究はそれを支える人文/社会科学のレギュラトリーサイエンスとして実施している。以下の四つを課題として実施している。

  1. リスクアナリシスの枠組みのなかで最重要とされるリスクに関する情報と意見を交換するリスクコミュニケーションについて、これまで開発した双方向モデルの普及・拡張

  2. 上記のための基礎研究として、食品由来のリスク知覚構造の分析

  3. リスクアナリシスの枠組み全体を支える専門職確立の制度的な研究

  4. 双方向モデルの健康リスクコミュニケーションへの拡張のための基礎研究(食事選択の意思決定プロセス、それに影響を与える社会的な食規範の形成史の分析)

「双方向リスクコミュニケーションモデルの開発」

先の研究(基盤研究(S))において、福島第一原子力発電所事故直後に、緊急事態対応のために、市民の水平的議論をベースにする双方向リスクコミュニケーションモデルを提示し、実証と普及を進め、新たな対象への拡張を模索している。

これまでに、(1)放射性物質の健康影響、(2)健康食品をテーマに、リスクコミュニケーションを行い、それぞれに必要な科学情報をとりまとめてきている。

当研究についての公表情報・論文は、以下からダウンロードいただけます。

「放射性物質の健康影響に関する科学情報」

 食品を介した放射性物質の健康への影響リスクコミュニケーション用科学情報の公表について

【公表情報】

「食品を介した放射性物質の健康への影響について」

「食品を介した放射性物質の健康への影響」【改訂版】​

​ダウンロードページはこちら>

「健康食品のリスクに関する科学情報」

 健康食品のリスクリスクコミュニケーション用科学情報の公表について

【公表情報】

「健康食品のリスクについて」

​ダウンロードページはこちら>

双方向リスクコミュニケーションモデルに関する論文

■提示した双方向リスクコミュニケーションモデルは、以下の4つのステップからなる。

ⅰ)専門家による科学情報の取り纏め、

ⅱ)その提供と参加市民のみのグループディスカッション、参加市民からの疑問提示、

ⅲ)疑問に応える2回目の科学情報取り纏め、

ⅳ)その提供と2回目の市民のグループディスカッション

■双方向リスクコミュニケーションモデルの全体は、以下の3つの段階で普及する。

Ⅰ)フォーカスグループ・リスクコミュニケーション

:上記4ステップを実施し、体系的な科学情報を取り纏める

Ⅱ)コミュニケータ育成

Ⅲ)普及段階リスクコミュニケーション

:上記Ⅰで作成した科学情報を用いて、コミュニケータにより幅広く実施

(自治体、食品事業者、市民グループなどで、実施できます)

研究課題2

「食品由来リスク知覚構造の国際比較分析」

食品由来リスクに関する市民の知覚構造の調査分析を行い、その特徴の解明を進めている。

 

これまでに、(1)食品由来の多様なハザード、(2)健康食品、(3)放射性物質の健康影響、に対するリスクをこれまでに取り上げ、国際比較分析を進めている。

さらに、リスク知覚に対する想起イメージの影響が大きいことから、想起イメージの内容、そのイメージをどのような媒体から、いつ、得たかについて、日本、フランスにおいて調査を進めている。

また、双方向リスクコミュニケーションにおいて、リスク認知は変化しても、リスク行動(例えば、被災地域の農産物の不購買など)が変わらない傾向がみられたので、その乖離の要因と解消法について、実験的な調査によって分析を進めている。

関係論文は以下からダウンロードできます。

研究課題3

「食品安全プロフェッションの確立に関する研究」

リスクアナリシスの効果的遂行のためには、リスク管理、リスク評価機関の行政担当者、食品産業団体や食品企業に、高度な専門能力をもつ専門家が不可欠である。

これまでに、海外の高等専門教育、リスク管理機関および職業団体における専門職の配置、職業研修の現状を広く調査し、また、日本の地方行政組織の食品安全部署の全国一斉調査を実施してきた。海外では国のリスク管理機関のみならず地方行政、職業団体に及ぶ普遍的な高度専門職配置がなされ、イギリス、フランス、デンマークなどでは高等専門教育体系を大幅に再編されている。これらの調査を行いながら、結果をとりまとめ、専門職確立の考え方と要件を示すことを課題としている。 

関連論文や報告書は、以下からダウンロードできます。

新山陽子・高鳥毛敏雄・関根佳恵・河村律子・清原昭子「フランス、オランダの農業・食品分野の専門職業組織─設立根拠法と組織の役割、職員の専門性」フードシステム研究、20(4):386-403、2014年

日本学術振興会科学研究費助成研究基盤(S)食品安全・衛生のプロフェッションの確立に関する調査報告書『フランス、オランダにおける専門職業間組織(事業者団体)の役割と職員の専門性-ヒアリング記録と関連法』(研究代表者:新山陽子)2012年10月31日

清原昭子・工藤春代・高鳥毛敏雄・鬼頭弥生・新山陽子(2019)「地方自治体における食品安全行政専門職の現状と課題 -地方自治体へのアンケート調査-」『フードシステム研究』第26巻第3号、112-127

研究課題4

「食事選択、食習慣・食規範・食文化に関する国際比較研究と食生活由来の健康リスクコミュニケーション」

双方向リスクコミュニケーションの理論と手法を食生活由来の健康リスクコミュニケーションに拡張するために、以下のような研究を進めている。

食事パターンを把握し、食事選択を認知的な意思決定プロセスとして解明し、それに影響を与える生活要因や食慣習・食規範、健康イメージを抽出するとともに、社会的な食規範を形成史から再吟味する。将来、それらの結果を元に、双方向モデルを拡張し、市民の食生活と健康リスクコミュニケーションを実施する。

この研究課題は、研究テーマ3の研究課題2に発展させています。
これまでの関連論文や報告書は、以下からダウンロードできます。

工藤春代・鬼頭弥生・新山陽子「食事内容に関する実態調査―組み合わせパターンに着目して―」農業経済研究、88(4):410-415、2017年

Yayoi KITO, Haruyo KUDO, Yoko NIIYAMA (2020) Association Between Dietary Patterns and Attitudes Toward Meals by Gender, Age, and Household Type in Japan: Using Multiple Correspondence Analysis, Journal of Food System Research, 27 (1): 2-16

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